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【時事】三井住友銀行 個人営業でノルマ廃止

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こんにちは。十返舎テックです。
私が興味を持った時事ネタにも、ちょいちょい触れていきたいと思います。

2019/04/23付のニュースによりますと、三井住友銀行が個人向け金融商品の販売でこれまで行員に課していたノルマを廃止したようです。

営業成績を追いかけることと、コンプライアンスの遵守の両立は中々の難しく、また、会社の屋台骨を支える営業部門は社内の発言力が大きくなりがちで、度を越した営業がしばしば問題になります。

目標を掲げそれに向かって行動することはいたって正常な反応ですが、『ちょっとくらい大丈夫だろう』と考える輩が存在することも確かです。会社としてもそれを良しとはせずに、研修の実施や報告書の提出など様々な手を打つのですが、過剰コンプラと非難されることもあれば、抜け道を見つける輩とのイタチごっこになったりと、スマートな対応ができておりません。ノルマが存在する以上、ある一定数の度を過ぎた行為は必ず発生すると言えるでしょう。

さてさて、今回の記事にあるノルマ廃止の理由として、正にコンプライアンスと記載されておりますが本当にそれが真の目的でしょうか…?

ノルマを廃止して廃業した富士銀行

バブル真っただ中の富士銀行に入行した元行員で、現在は株式会社オンデーズ取締役のヨシオクノ氏は、ご本人のブログで当時の銀行におけるノルマの実態を語っております。

当時繰り広げられた住友銀行と富士銀行との収益争いと、1991年に起きた「富士銀行赤坂支店事件」を背景に、富士銀行はノルマを撤廃し“顧客支持”を標榜しましたが、その後同行がどうなったかをブログで以下のように記してます。

(中略)

この事件後、富士銀行の新頭取は各種目標(ノルマ)を撤廃。
「顧客支持トップバンク」という抽象的なスローガンのみで、
数字の箍を外された現場は混乱。一気に弱体化する。

しばらく後に目標制度は復活するものの、時すでに遅し。
「弱者連合」興銀、第一勧銀との三行合併で「みずほ」が誕生。

戦後「最大最優」のリーディングバンクとして日本経済を支えた
富士銀行はその歴史に幕を閉じることとなった。

(中略)

ノルマがあったおかげで収益が確保できてたのか、“顧客支持”というスローガンが抽象的過ぎて現場が目標を失い収益が落ち込んでいったのか、その因果関係はわかりませんが、中身がない表面的な施策は逆効果であることを証明した一例だと思います。

ノルマを廃止しても業績が悪化しなかった北國銀行

一方で、ノルマを廃止が業績悪化に結びつかなかった銀行も存在します。石川県金沢市に本拠地を置く北國銀行です。

北國銀行では市場縮小や経済成長の鈍化を背景にさまざまな経営課題に直面し、それを乗り越え市場での生き残り戦略として「顧客志向」を打ち出しました。2015年4月には営業目標の撤廃を決定し改革に着手。前述の富士銀行と見据えている先は同じようですが、同行の業績推移を見る限り、改革着手した2015年前後の時期に業績が悪化した形跡はありません。

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https://www.stockclip.net/companies/2952 より転載

北國銀行の改革は金融庁も注目してます。森信親前金融庁長官は、厳しい経営状況に置かれている全国の地方銀行に対し、「持続可能なビジネスモデル」への転換を強く求めてきました。それを体現したのが北國銀行です。

北國銀行では目先の利益を拡大するのではなく、地元企業の創業から事業継承、事業再生の支援が同行の収益源となるよう、地元企業に密着したメインバンク戦略を採用しています。

ノルマ至上主義による不正融資が横行したスルガ銀行

“ノルマ”“銀行”で連想するのが、スルガ銀行によるスマートデイズへの不正融資問題です。女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡り不動産オーナーとサブリース契約を結んだスマートデイズとの家賃保証問題をきっかけに発覚しました。

当時のスルガ銀行内では、屋台骨を支えていた営業部門の発言力や影響力がとてつもなく大きく、本来であれば“銀行の良心”である審査部門が形骸化しており、この問題を調査した第三者委員会は『実態を無視した営業目標の設定とそれに伴うパワハラ行為やコンプライアンスを軽視した行為が疑われる』と指摘しています。

 

キーワードはビジネスモデルの転換

三井住友銀行におけるノルマ廃止の話題は今回のニュースが初めてではありません。同行では、これからの社会変革に対応していくためには、“生産性の向上”とそれを実現する“働き方改革”が急務であると捉えていて、以前から営業ノルマの在り方については検討していました。

今の時代、優良な融資先が次から次へと見つかるわけでもなく、マイナス金利政策や新たな金融ビジネスの出現により、預金・送金の各種手数料収入は目減りするばかりです。

人はいるけれど、北國銀行のような事業支援を実践できる“本物の銀行マン”と呼べるような人材は極わずか。この激動の時代を生き抜くためには生ぬるいカイゼン活動ではなく、ビジネスモデルの転換に資するような“異次元の改革”を実現しなければ、メガバンクといえども明日はないでしょう。

さいごに

銀行は生命保険会社にとって重要な販売チャネルの1つです。営業職員の方では中々リーチできない顧客層へ銀行窓口を経由することで保障に対するニーズ喚起が可能になります。銀行窓口で腰を据えて手続きするような方々なので、資産運用やリスク回避のための保険加入に興味を持たれる方が多く優良見込客が多い顧客層です。

住宅ローンを申込む際に加入を勧められる団体信用生命保険の銀行窓口募集を見ると特にそれが顕著で、『世の中にこんなに簡単な営業があるのかぁ』と思ってしまいます。

(怒られますかね…。売り手側が楽しているという意味ではなく、訪問販売で感じるようなお客さまとの壁が感じられないといった意味です。) 

やはり営業にはタイミングが重要な要素なのでしょう。

戦後直後に生まれた生命保険の営業スタイルは今なお健在ですが、令和という新たな時代に向けて我々保険会社も変わらなけばいけません。今回のニュースは将来に向けて考えさせられる記事だったと思います。今後の生命保険業界に注目です!

最後まで読んでいただきありがとうございました。