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第8回_医療の進歩と保険加入

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こんにちは。十返舎テックです。

今回は医療の進歩によってもたらされた保険加入の変化についてお話しします。

医療の進歩によってもたらされたもの

人生100年時代到来

テクノロジーの発達と医療研究者による今日までの活動の成果として、医療技術はここ数十年で飛躍的に進歩しました。また、日本においては国民皆保険という素晴らしい医療制度も相まって、人生100年時代の到来と言われております。

こうしたことを背景に生命保険に対するニーズも大きく変化したことはもちろんなのですが、保険加入時の審査基準もここ数年で大きく変わりました。

胃かいようは不治の病?!

医学を全く知らない人でも胃かいようという病名は聞いたことあるでしょう。

胃潰瘍について、あなたはどんなイメージを持ってますか?
ある日突然、あなたは胃かいようですとお医者さんから宣告されたら絶望するでしょうか⁇
…まぁ、病気の捉え方は十人十色ですが、『えっ?死んじゃうの⁈』って発想にはあまりならないと思います。ストレスかなぁとか、不摂生が祟ったかなぁとか、せいぜいそんなものでしょう。(ちなみに近年の研究で実は細菌性によるものであることが判明したようです。詳しくはリンク先をご覧ください。)

そんな比較的身近な胃かいようですが、ひと昔前まで保険会社はこの病気に罹患した事がある人は、保険加入をお断りしていました。何故だかわかりますか?実は胃がんの疑いがあったからなんです。

もう少し詳しく説明しましょう。

勤め先の健康診断や行政の住民検診など最近は定期検診が当たり前になりました。また、医療技術が向上し、大腸がんや胃がんは早期に発見されるケースが多くなり不治の病ではなくなりつつあります

ただ、それも最近のこと。

これまでは、胃がんは自覚症状があまりなく、初期症状としては「飲みすぎ食べ過ぎの時に感じる腹部や胸部の違和感」と差があまりないため、検査して見つかった時には“すでに遅し”というケースが多かったようです。

医者は治療のしようがないので、まずはご家族には胃がんであることを伝え家族の同意があれば、本人には胃がんではなく『胃かいよう』という病名を伝えていました。そのため、保険会社は詳しい情報が得られない限り、胃かいようの罹患歴がある方とは距離を置いていた時代がありました。

今日では前述のように早期発見するケースが増え初期治療で完治することも珍しくなく、また、医療現場において患者との関わり方・向き合い方に関する考え方(インフォームドコンセント)がここ数年大きく変化し、今では「胃がん」と「胃かいよう」は別物であると捉えてそれぞれのリスクに応じた保険加入の審査を実施しています。

この事例は医療の進歩が保険加入に対してポジティブに働いたものです。

 

医療の進歩で保険加入が厳しくなった?!

一方で、医療の進歩が保険加入を厳しくしているケースもあると考えてます。

臨床医学と異なり保険医学では、病気として身体に現れる前、つまり、健康ではないけど病気でもない『未病』という概念が大変重要です。

臨床医学は今現在に重きを置きますが、保険医学はあくまで将来どうなるかが重要であり、例えばがんと診断された患者が5年後に生存している割合を『5年後生存率』という指標で表しますが、保険医学的には5年後生存率80%だろうと10%だろうとそこに大きな差はなく、5年生存率10%でもその後安定して生活できるのであれば、5年生存率80%の疾病よりも場合によってはリスクが低いと判断します。(まぁ少々乱暴な例えですが…)

今現時点は健康でも実は未病の疑いがあり、それが未来に大きな影響を及ぼす可能性がある場合は、保険加入を慎重に吟味しなければなりません。

確実な統計データがあるわけではないのですが、近年の医療進歩で未病状態であるかが以前よりよくわかってしまうようになったことが、保険加入の審査に大きな影響を及ぼしていると考えております。もちろん、未病の状態を発見できるということは本人にとって紛れもなくポジティブな事なのですが、保険加入の観点から考えると今まで知りえなかった『未病』の情報はリスク評価せざるを得なく、その結果、今まではお引き受けしていたような方でも、今はお断りさせていただいたり、割増保険料をいただいたりしている可能性があります。「陰」と「陽」の両面それぞれ持っているのが医療の進歩だと言えるでしょう。

保険加入時の審査の難しさ

厚生労働省がまとめた平成29年度の簡易生命表では、40歳男性の死亡率はちょうど1000人に1人という結果がでてます。

これを多いと捉えますか?少ないと捉えますか?

私個人の感覚としては多いと思ってます。40歳男性と言えば保険加入のボリュームゾーンです。この死亡率で考えると、保険加入を引き受けるか否かの判断は1000人のうち1人は判断を誤ってリスクが高い人を受け入れても問題ありませんが、2人受け入れてしまったら会社としては赤字です。赤字を補填するために、追加で999人の健康な40歳男性に保険加入していただかなければなりません。

1000人規模のお客さまなんて易々と確保できるわけなく、審査はまさに会社の収益や営業戦略に直結します。だからと言って、極端に審査を厳しくしてしまうとそれはそれで会社としては機会損失になりかねませんので、保険加入の審査はそのバランスを保つ大変難しい業務と言えます。

また、先ほど「未病」の話をしましたが、医療の進歩によって病気が発症したものの「重症化を抑制」できる病気も多くあります。重症化を抑制できるのであれば、審査の基準は緩くしても問題ないケースがあります。『今まで以上に厳しくリスク評価する必要性』と『今まで以上に易しくリスク評価する必要性』、相反する2つの事象が起きてしまっていることが保険加入審査の悩みと言えるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。医療の進歩が保険会社にとって悩みのタネになるなんてあまり想像つかないかもしれませんが、これまでの生命保険会社のままではビジネスが成り立たなくなってきていることは間違いありません。

これからの生命保険各社の動向に注目です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。