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第18回_今でしょ⁉が今じゃなかった話

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こんにちは。十返舎テックです。
『いつやるの?今でしょ!』でブレイクしたカリスマ塾講師 林修先生。塾講師として多くの受験生にありとあらゆる知識・テクニックを伝授してきた林先生に、あらゆる分野のプロフェッショナル達が講義する人気TV番組をご存知でしょうか?

つい先日何気なく見ていたら『カビ』をテーマに認知症との関連性について放映しているシーンがあり、思わず食いついてしまいました。何を隠そう“認知症”は生命保険業界でホットな話題です。 以前にも当ブログで取り上げたことがあります。

で、その番組の中で“最新研究”としてカビと認知症の関係性を紹介されていたのですが、それを見た感想がこの記事のタイトルのとおりでしたので、本日はその話をお伝えしたいと思います。

番組のあらすじ

公式サイトの紹介文を引用します。

気候的にこの6月が最も要注意の「カビ」。何とそのカビにまつわる驚きの最新研究が発表された。「カビが原因でアルツハイマー型の認知症に!?」今回はカビと認知症の因果関係や、カビとは無縁の健康長寿の家を見て分かった予防法、更には風呂、台所、寝室で異なるカビ対策の掃除法を徹底的に学ぶ! 

がっつり“最新研究”書いてあります。どういう内容だったかというと、アルツハイマー型認知症は『アミロイドβ(ベータ)』という物質が脳に溜まった結果発症する病気であり、そのアミロイドβは人間の脳をカビなどの毒素から守るために体内で作られます。カビなど発生しやすい環境で生活すると、呼吸でカビを体内に取り込んでしまうためアミロイドβが溜まりやすくなり、結果としてアルツハイマー型認知症が発症するとのこと。だから『カビ予防は認知症予防に精通するんです』ということを最新研究の成果として紹介しておりました。

この紹介内容に対して「最新研究でも何でもないじゃないか!」と一人ツッコんでいた私でした。医薬の世界では何年も前からその研究が行われてきましたし、最新研究ではその反対のことが言われ始めているからです。

アミロイドβと認知症の歴史

歴史を語る前に、2017年5月にNHKの人気番組 ガッテン!で同内容が紹介されてます。

この時点で最新でも何でもないんですよね・・・笑

アカデミックの世界を調べると2つの論文を見つけました。論文発表の年月を見る限り30年ほど前から認知症とアミロイドβの関係性は注目されていたことになります。

ついこの間まで“痴呆症”と呼ばれ認知症患者が近親者にいない方々から症状の理解を得ることがなかなか難しかったのですが、認知症患者が年々増加していくなかで世間からの注目度も高くなり、今では社会課題の一つとして取り上げられるほどになりました。世間が注目するネタを取り上げることはメディアとして間違ってはおりませんが、“最新研究”として紹介するのはいささか過剰ではないかと感じた次第です。

近年の研究内容と見解は?

それでは、近年の研究と見解はどうなのでしょうか?既に記載しましたが、現在は『あれ?今までアミロイドβがアルツハイマー発症の原因かと思っていたけど、もしかしたらそうとも言えないかも・・・』という考えが徐々に広がっています。

アルツハイマー特効薬の治験は思うようにいかず・・・

現代医薬学の最先端はやはりアメリカです。

アメリカでは、アルツハイマーと密接に関わり合う脳に蓄積されたアミロイドβを除去する薬の開発と治験が盛んに行われてきました。およそ20種類くらいの治験薬が開発されたと聞いてます。それだけの治験薬があれば、いずれアルツハイマーに対する特効薬が世に出回ると期待されていました。

しかし、それら治験薬は思うような結果を得ることができませんでした。アミロイドβの除去に成功してもアルツハイマーの症状進行を止めたり完治に向かわせることができなかったのです。また、アミロイドβは老人班という“シミ”を脳に形成するのですが、その“シミ”がある人がアルツハイマーを必ず発症するわけでもないので、アミロイドβとアルツハイマーの相関関係は確認できるものの因果関係があるわけではなさそうという考えが徐々に広まってきております。

期待の治験薬『BAN2401』

そんな挫折だらけの治験ですが、やっと期待できそうな治験薬が出てきました。その名も『BAN2401』。治験というのは大きく3つのステージに分けられ、それぞれ第I相試験、第II相試験、第III相試験と呼ばれる試験を通過する必要があるのですが、BAN2401は今まさに第III相試験が行われている治験薬です。

BAN2401は第II相試験でアミロイドβの抑制とアルツハイマーの症状を軽くする効果を得ることができたようで、第III相試験でより大きい規模の治験でその効果を検証することになります。

懸賞金 400万ドル

アメリカのメジャー新聞「The New York Times」に掲載された発表が世間を賑わせました。というのも、テキサス州在住で認知症の家族を持つビジネスマンが、アルツハイマーの仕組みを解明した者に対し懸賞金400万ドルを支払うという主旨の記事が掲載されたためです。

この他にもMicrosoft創業者であるビル・ゲイツ氏がアルツハイマー研究に対して多額の寄付を実施するニュースも少し前に取り上げられました。

アメリカでは社会課題解決のために個人が支援するということも珍しくありません。日本でもそのような方がいないワケではないと思いますが偽善という言葉があるように、そのような活動に対してネガティブに捉える方が少なからずいらっしゃいますよね。意見が分かれるところですが、“やらない善よりやる偽善”かなぁと考えてます。

最後に

いかがでしたでしょうか。治験の話題であえて記載しなかったのですが、思うような結果が得られなかった治験薬の中には『予防を目的とした薬』もあったと聞きます。この話を聞いた時恐ろしいことを考えるなぁと感じました。“治療薬”ではなく“予防薬”です。つまり、薬を売る相手はアルツハイマーを発症した患者ではなく健康的な方であり、先進国各国の社会課題となっているアルツハイマーの発症を抑制する薬なんて生み出されてしまったら、我々はそれを手放すことができなくなることでしょう。水やエネルギーのように生活必需品に近い存在として扱われることを目指すビジネスモデルを描く製薬会社に底知れぬものを感じました。

とはいえ、私たちの生活を豊かにしてくれる新薬の誕生には期待を寄せずにはいられません。そんな薬が誕生したとき『認知症保険』は解約の嵐になるのだと思いますが・・・それはその時考えましょう。

本日はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました。