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第12回_注目技術!AI-OCRの実力は?

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こんにちは。十返舎テックです。ゴールデンウィーク10連休、いかがお過ごしでしょうか。新しい令和の時代に向けて生命保険会社のますますの発展を期待するという意味を込めて、先日、三井住友海上あいおい生命がおもしろいツールの紹介を平成最後の記事にしたいと思います。

撮るだけねんきん資産ツール

ここ数年、金融機関や役所で大注目のOCR(Optical Character Recognition/Reader)ですが、三井住友海上あいおい生命は、その技術を活用して『撮るだけねんきん試算』というツールを開発、提供しましたので、それを早速使ってみました。

※当ツールは2019年4月25日時点でiPadでしか動作しないようです※

まずは、撮るだけねんきん試算/三井住友海上あいおい生命にアクセスしてください。トップ画面のスタートボタンを押下すると、基本情報を入力するページに遷移します。

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撮るだけねんきん試算 情報入力ページ

小難しい項目は一切ありません。年齢・性別・職業・年収・家族構成、あとはお手持ちのねんきん定期便の様式を設定するだけです。私は『はがきタイプ』しか受け取ったことないのですが、様式選択はメニューでは4つから選択でき、その中身を見ると特定の年齢ではA4サイズのねんきん定期便が配布されてることを伺い知ることができます。はがきタイプも50歳未満と以上で異なるようで、ご自身がどのタイプの定期便を受領しているか今一度、ご確認ください。

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撮るだけねんきん試算 様式選択メニュー

情報入力を終えるとiPadカメラが起動し、お手持ちのねんきん定期便を撮影します。

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撮るだけねんきん試算 撮影

撮影後はOCRの結果を確認します。大体30秒くらいで撮影した内容が表示されます。

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撮るだけねんきん試算 結果確認

モザイクばかりで申し訳ないです 笑

が、見事に掲載内容を認識しておりました!読み取る項目は試算に必要な項目(私が撮影した様式だとオレンジ枠で表示されている7項目)のみに限定されているようです。OCRの精度を試すべく、画面を縦にして撮影してみたり、被写体を斜めから撮影してみたりと色々試してみましたが、概ね、どのような撮影をしても、正しい読み取り結果を得ることが出来ました。被写体の台形補正や上下左右の検知機能が備わっているようです。

さて、試算結果は・・?というと、以下のとおりです。

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撮るだけねんきん試算 試算結果

なるほど。なるほど。すごく分かりやすいですね。
ある特定条件に該当する場合に加算される手当含めた詳細な試算ではなく、あくまで目安ですが自身の年金見込み額がなんとなくわかることは将来のライフプランを設計するにあたって、非常に有意義な情報ではないでしょうか?操作も非常に簡単で5分あれば完了します。ただし、iPadが必要ですが・・・。

 

類似ツールとの比較

ねんきん定期便を使った公的保障を確認するツールは、オリックス生命からも提供されております。

こちらのツールはインターネットブラウザ経由でPC・スマホ・タブレットなど各種デバイスから利用できます。先に、このツールを使った試算結果をご覧ください。

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オリックス生命の公的保障ツールを使った試算結果

各受給額で若干のズレがありますね。オリックス生命の方が低めに提示されてます。まぁ、どちらも“試算”ですからね。そういうものだと割り切りましょう。

特筆すべきは試算の基になる情報入力です。オリックス生命のツールでもいくつか情報入力するためのページが用意されております。以下がそのページです。

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オリックス生命の公的保障ツール

この情報入力画面の入力すべき数値が何なのか、チンプンカンプンでした…。ねんきん定期便のどの記載を入力したらよいか。

イヤ、右上にわかりやすくヘルプがあるのは気づいたんですよ。でも、あいおい生命の撮影ツールを体験してしまうと、ヘルプを押すのも億劫で・・・。このツールは特別わかりにくい画面仕様ではないですし、色使いなどデザイン的にも優れていると思いますが、カメラ撮影と比べてしまうと“印象”が全然違いますね。こういうところでつけられた差が、将来、大きな差になるのかもしれませんね。

AI-OCRはすごいのか?

OCR自体は新しい技術ではありません。日本では1968年に当時の郵政省がOCR製品を導入し、郵便番号を機械が認識して集配物の仕分け業務支援を実現しておりました。OCRが再び脚光を浴び始めたのはここ数年で飛躍的に技術が進歩しているAI技術を活用したOCRが登場したことによります。AIの定義が何なのかというとそれは漠然としたもので、これというものはありません。先ほどご紹介したあいおい生命のツールは“AI-OCR”と標榜しており、三井住友海上あいおい生命のニュースリリースでは以下のように説明あるものの、なんだかよくわかりません。

AI-OCR は、人工知能(AI)を用いて高精度な文字認識を行うIT技術です。

文字認識は従来のOCRでも可能です。しかも、今回のツールで認識する文字は金額表記ですから、0~9とカンマ(,)が認識できればいいわけです。AIなんて小難しい技術を使わなくてもそれを実現する製品は世に溢れております。『AI』という言葉は最近バズワードくさくなってきましたね。

AI-OCRへの期待

生命保険会社が期待するAI-OCRの技術。その期待の裏には、まだまだ紙帳票を多く扱っている事実があります。生命保険会社がお客さまとのご契約や、給付金等支払を円滑に実施するためには、お客さまから本人確認書類、診断書、領収証、健康診断結果通知書などをご提出いただく必要があります。ご提示いただいた帳票に掲載されている情報をコンピュータに登録するのは人が行います。かなりの業務量です。労働人口が減少し『働き方改革』が推進されている昨今、この業務の圧縮は各社喫緊の課題です。生命保険会社ではお客さまから提示いただく帳票のインプット作業をどうにか自動化したいという思いは今後ますます大きくなることでしょう。

AI-OCRの現状

AI-OCRとこれまでのOCRの何が違うかというと、従来のOCRは特定の定型帳票と読み取る項目の座標をあらかじめ登録しておくことで、その領域に記載されている文字列をテキストデータに変換するというものでした。はがきの郵便番号を読み取れるのも、はがきが定型で郵便番号の記載されている位置があらかじめ明らかだからこそ出来たことです。

一方、AI-OCRは大量の帳票を機械に学習させることで、機械がそれぞれの帳票レイアウトの特徴を識別し、読み取る項目の座標位置をあらかじめ登録する必要がないという技術になります。また、帳票レイアウトが定型ではないものでも適用できる技術が徐々に出始めました。認識できる文字も印字されたものから手書き文字まで幅広く対応できつつあります。生命保険会社がお客さまからお預かりする帳票はそれぞれ以下の特徴があります。

  • 本人確認書類:レイアウトは限定的。
  • 診断書:レイアウトは生命保険会社指定のモノであるが、医師が直筆で記載するため、手書き文字で記載された書類が多い。
  • 領収証:機械印字が多いものの、発行体によってレイアウトがバラバラ。
  • 健康診断書:領収証と同様、機械印字が多いもののレイアウトがバラバラ。また、情報量が多い。

スマホやタブレットのカメラ機能を活用してそれら書類の画像イメージを取得することが多い昨今では、例えレイアウトが限定的であったとしても、帳票サイズが定まらないため、座標をあらかじめ登録しておくことは困難です。

その課題を乗り越えつつある技術がAI-OCRです。が、まだまだ“人の代わり”に処理を行わせるのは難しいです。理由は以下です。

  • そもそも、人が帳票から特定の情報を見つけ出してそれをコンピュータにインプットするという行為の正答率は95%以上
  • AI-OCRが目的の項目を帳票から探し出してそれをインプットする正答率は70%~90%
  • AI-OCRの精度が人に近い精度を発揮しない以上、AI-OCRのインプット結果を人が確認するという作業が必要となる

結局、だれかがAI-OCRが導き出した答えを“採点”してあげないといけないのです。また、AI-OCR導入後のランニングコストも無視できません。人の方が精度が高くて安いというのであれば、どんなに最先端な技術でも導入するメリットが存在しません。あいおい生命が提供したような“責任が発生しない”領域での活用はありかもしれませんが、生命保険会社のバックオフィスにAI-OCRを導入して業務量の圧縮を図るには、まだまだ技術が追い付いておらず、生命保険会社が想い描いている未来の実現にはもう少し時間がかかりそうです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。AI-OCRはまだまだ発展途上ですが、近い未来、私たちの仕事を激的に変革してくれるものと私は期待しております。これ以外にも、生命保険会社は最先端テクノロジーの研究を多く実施してます。これらについては、また後日、記事にしたいと思います。

令和も引き続きよろしくお願いします。