さぁ、生命保険会社の内勤について語ろう

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第11回_情報システム子会社への出向

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こんにちは。十返舎テックです。

生命保険会社に就職したのに最初の配属先が情報システム子会社だったなんてよくある話です。ということで、本日のテーマは情報システム子会社についてです。

出向は突然に

新卒入社後の集合研修も残すところあとわずか。今日は待ちに待った配属先の発表日。

研修後宿舎に戻って同期と話す内容は決まって、
「お前は支社だろう」
「俺は運用部門に行きたいなぁ」
「いきなり海外とかあるのかなぁ」
と言った夢と希望に満ち溢れてる楽しい内容です。

この時点で誰一人として情報システム子会社に出向するなんて微塵にも思ってません。もしかしたら、そういうルートを知らない者すらいるかもしれません。

さてさて、辞令公表の当日は人事部の方が北に位置する支社配属から順番に読み上げます。会社によっては本社配属の後に支社配属かもしれません。名前を呼ばれるたびに喜びや悲しみ、様々な感情で部屋を満たします。

『おや?まだ呼ばれないぞ⁇』

辞令交付が終盤に差し掛かってもまだ自分の名前が呼ばれません。

『このままだと沖縄か?それも、まぁいいか。』

 

そうこうしているうちに、残すとこあと2〜3人。
目星い部門は既に発表を終えており、もちろんあなたの希望部門もとっくのとうに終えてます。

『なんでもいいから早く名前を呼んでくれ!』

居ても立っても居られずソワソワしていたところに人事部の人が言い放ちます。
「関連会社…」

一瞬思考が停止します。

『本体ではない?なんだ⁇海外の駐在所か?イヤ、自分に限ってそんな訳ない。関連会社…何があったっけ?』

ここまでの思考時間、およそ0.3秒です。

「山田太郎(仮名)!!◯◯情報システム(◯◯テクノロジー)株式会社への出向を命ず!」

思わず裏返った声で返事する者。えっ?て反応する者。
様々ですが、この瞬間、あなたの出向が確定しました。

「以上!」

『以上って…私は一体何をどうすればいいんだ。』

こんなストーリーがあなたを待っているかもしれません。
そんな事態になっても自分を見失わずに入れるよう、情報システム子会社の実態をご紹介します。

 

情報システム子会社って一体?

SE業界のあれそれ

ユーザー系子会社、某掲示板ではユー子と呼ばれている会社です。いわゆるシステムエンジニアが日々システム開発をしている会社です。何かとネガティブなイメージがつきまとうSE業界ですが、大きく3つに分けることができます。

  • 母体が大手IT会社のシステム子会社ベンダー系
  • 社長が一念発起して作り上げた母体を持たない独立系
  • 母体が非IT業で元々はいちシステム部門だったものが、グループ子会社として設立されたユーザー系

ユーザー系は他のSEと比べて勤務環境は良いと言われてます。
SE業界はよく建設業界に例えられますが、“元請け→子請け→孫請け→・・・夜叉孫請け”なんていう請負構造がその由来です。
ユーザー系は母体となる企業からの受託開発がメインなので、元請けに該当することも勤務環境が良い理由のひとつです。

気になる給与体系

出向の場合、親会社の給与体系がそのまま適用されます。
なので、あなたの同期と収入で悪い方に差がつくなんてことはありません。もしかしたら残業であなたの方が貰うかもです。

システム子会社に新卒入社した方と比べると、入社時は少し低いか同じくらい。だいたい8〜10年目になると、親会社所属の社員の方がざっくり200万円程高くなります。間違っても給与テーブルの話を出向先でしないことです。自ら敵を作ることは避けましょう。

仕事内容

細かい話をするとシステム子会社でも

  • ハードウェアやネットワーク開発を担当する部門
  • javaやC言語などを扱うオープン系を担当する部門
  • システムの運用保守を担当する部門
  • そして、COBOLという古いシステムを扱うホスト系部門

のように分けることができますが、何かしらのプログラム言語の習得とプログラミングは避けて通れないでしょう。
“親会社からのシステム改修案件をスケジュールに則って開発作業していく”
そんな日々があなたを待ってます。

親会社の研修や資格試験について

これらが免除になることはありません。
他の同期と同じように消化する必要があります。いつかあなたも本体は戻るのですから。
さらにシステム子会社の同期入社社員たちが取得を目指す情報系資格の取得も求められるでしょう。まぁ、生命保険会社に就職出来たのですから、普通に勉強すれば一発でとは言わないものの2回目には合格できると思います。

出向期間はいつまでか?

これは本当に人それぞれです。
思いのほかSEの世界とマッチして、あなたが戻りたくなくなるかもしれませんし、出向先が離してくれないパターンもあります。出向先も育ててきた貴重な人材ですからね。

一方でプログラミングが性に合わず、苦しむ方もゼロではありません。そういう方は2〜3年くらい経過した後に本体に戻ります。全部がとは言いませしあくまで私見ですが、早期に本体に戻る方で、評判がいい人材はあまりお見かけしません。なんていうか、そういう方々はプログラミングが性に合わないというか、今まで経験のない職務への適合ができない、つまり、配属先がどこであっても結果は似たり寄ったりなのかなぁと思います。ただし、不本意に出向させられているその状況は察するものがありますので、まぁ不貞腐れることなく自分なりに一生懸命働けば、その頑張りを見ている人は必ずいるし、周囲があなたの困っていることや状況を助けてくれます。ハナから見捨てられるなんてことは決してありませんのでそこだけは理解してください。

情報システム子会社のあれこれ

生命保険の歴史を紐解くとシステムの歴史そのものであることがわかります。生命保険各社は数理部門で使用する機械式計算機を導入。1900年初頭の頃の話です。電子コンピュータはまだありませんでしたが、緻密な計算と設計を要する生命保険販売はその時代の最先端技術を必要としてきました。1960~70年代になると、業務効率化を目的とした大型コンピュータ(メインフレームと呼びます。)が導入され1990年後半のITバブル崩壊まで、保険会社のシステム投資額は右肩上がりに伸びていきます。

1980年代後半から2000年にかけて、生命保険会社各社はこれまでシステム開発を担っていた情報システム部門を分社化・子会社化してきました。その目的の多くはコストカットです。事務効率を向上させるために導入してきたITは会社にとって利益をもたらす部門ではありません。経済成長が鈍化した当時、各社は事業の集中を図り情報システム部門をグループ事業会社として外に出しました。外に出された情報システム子会社は自ら収益を確保すべく、親会社の受託開発とは別に“外販”と言われるスキルや製品を外に売り出す戦略を打ち出してきました。まぁ、ここに記載しているのは理想形であり、それを体現している生保の情報システム子会社は数えるほどしかありません。そのほとんどは親会社からの受託で手一杯であり、外に手を広げる余力、また、その技術力を有していないのが現状です。

情報システム子会社が置かれている状況

人口減少と高齢化社会が確実となっている日本社会において、人材不足はどの業界でも課題です。昨今のデジタル化は急速に目まぐるしく発展しており、テクノロジーをビジネスとうまく組み合わせることができれば、世の中をひっくり返すことなんて簡単です。伝統的な販売手法を主力とする生命保険会社は、そのような“脅威”にいかに立ち向かうべきか、答えがなかなかでない課題を抱えております。

「イヤイヤ、今ある情報システム子会社を活用して、新しいビジネス・テクノロジーを生み出せばいいじゃないか」

そう考える方もいらっしゃるかもしれませんが、前述したように人材不足で手を広げる余力のある情報システム子会社なんて、今の日本に存在しないといっても過言ではないでしょう。

情報システム子会社の社員は何をしているのか

生命保険会社各社が使っている情報システムの原型が出来上がったのが、大体1970年~80年代です。ハードウェアはもちろん寿命がありますから、そこから7年スパンくらいで、システム更改を重ねてきております。中身のプログラムはというと、これには寿命がないので、基本的には継ぎ足し継ぎ足しでプログラムが肥大化して現在に至ります。

肥大化したプログラムが我々になにかポジティブなことをもたらすかというとそうではありません。プログラムが大きすぎて何かの処理を変更しようにも、その変更がどこにどんな影響あるか調べることに相当の時間がかかります。嘘のような話ですが、ある帳票に改定ある文言一行を削除するだけの改修に3か月必要になることだってあります。

そんな肥大化したプログラムの面倒を見るだけで、各社の情報システム子会社は手一杯なのです。ちなみにその面倒を見るだけで年間いくらかかると思いますか?

5億?10億?? 100億???

大手生保であれば、その額なんと500~600億円です。国家予算がこの額以下なんて小さな国もありますから、保険会社がシステムに投資する規模は半端ないです。

情報システム子会社はまだまだ安泰か?

あと5年は安泰でしょう。10年後はわかりませんね。情報システム子会社はあくまで内向きな、これまで培ってきた巨大なシステムの面倒を見ることがメイン業務なので、イノベーティブな仕事ができるIT企業とは別世界です。

毎年かかるコストもバカ高いですし、これから先も劇的にそれが改善するかというとそうではないので、『もういっそのこと、シンプルなシステムをイチからつくろっか』ってなった瞬間、情報システム子会社は飯のタネを失います。

  1. 営業職員の高齢化と収益性の低下
  2. Amazonなんかの巨大IT企業の保険参入
  3. グループ内にデジタルに特化した保険販売事業を立ち上げる
  4. 徐々に営業職員チャネルの収束と従来システムの塩漬け
  5. 情報システム子会社の受託開発案件はなくなり収益悪化、事業縮小

ざっと、こんな感じで情報システム子会社の歴史は幕を閉じるのかなぁと私は考えてます。現に、先端テクノロジー技術を用いた新サービスの検討は情報システム子会社ではなくコンサルティング会社やスタートアップ企業と直接やってますからね。情報システム子会社終焉の日はあながち妄想ではないと思います。

さいごに

2019年度生命保険会社入社の方はそろそろ辞令を受け取る時期ではないでしょうか。早いところだとすでに公表済みという会社もあります。

例え配属先が意にそぐわない場所だとしても、まずは一生懸命仕事に向き合ってくれればと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。