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第10回_認知症保険の販売と反応

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こんにちは。十返舎テックです。

本日は最近話題の「認知症保険」について、各社の動向とその意義を考察します。

認知症800万人時代の到来

認知症800万人時代という言葉があります。高齢化と長寿化を背景に今後日本が直面するであろう社会課題の一つです。2013年にNHKで特集が組まれ大きな反響がありました。

厚生労働省はこうした課題に対し、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を策定し、

認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する

という理念の基、7つの施策を打ち出しております。

 

認知症に対する保険はこれまで、『介護保険』や『介護保障保険』という名で、認知症への保障を各社提供しておりました。各社の介護保険では所定の要介護状態になった場合に一時金や給付金を受け取れるとしており、その所定の要介護状態の一つに『器質性認知症を原因として、意識障害のない状態において見当識障害』を定義していることがほとんどで、それがいわゆる“認知症”に該当します。

認知症に対する関心が高まる中、従来の介護保険の保障機能から『認知症に対する保障』のみを切り出して商品化することが流行っております。

生命保険各社の認知症保険 2019/04現在

業界初の認知症特化型保険「ひまわり認知症予防保険(太陽生命)」

2016年3月に業界で初めて“認知症を前面に押し出した”認知症治療保険を発売しました。認知症への関心が高まる中、ニーズをうまく捉えた戦略だったと思います。

2018年10月に従来の治療にフォーカスした認知症治療保険に加えて、予防にフォーカスした“認知症予防保険”を発売してます。

認知症予防保険の特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 認知症と診断されなくても定期的に給付金が受け取れる予防給付金
  • 予防給付金の活用方法として、提携業者による軽度認知障害の発症リスクを検査する血液検査サービスやウォーキングツアーなど予防サービスを提供
  • 加入後1年は削減期間とし、削減期間中に一時金・給付金支払事由が発生した場合は半額給付
  • ニーズに応じて、病気やケガ、骨折、7大疾病に対する保障を上乗せ可能
  • 認知症に対する保険金(認知症診断保険金)の支払事由は、生まれて初めて器質性認知症になり、医師により診断確定されたとき

太陽生命を追随した「あんしん介護 認知症保険(朝日生命)」

太陽生命が認知症保険の販売を開始した1か月後に、「あんしん介護」という商品のラインナップに『認知症年金タイプ』と『認知症一時金タイプ』2つの商品を追加しました。

特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 要介護1以上の認定で、その後の保険料の払込不要
  • 認知症に対する年金・一時金の支払い要件は、器質性認知症の診断確定と日常生活自立度判定基準ランクⅢ以上であることが必要

医師の診断のみでは年金・一時金の支払事由に該当しないことがポイントです。

大手初!予防にも力を入れている「ジャスト 認知症保険(第一生命)」

生保大手と呼ばれる「日本生命」「第一生命」「明治安田生命」「住友生命」4社の中で最も早く商品を出したのが第一生命です。太陽生命が初めて認知症保険を売り出してから2年ほど経過してからの発売となります。

特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 4つの質問に限定した告知緩和型商品で持病があっても加入しやすい
  • 加入後2年間は支払事由が発生しても、払い込んだ保険料累計額の給付のみ
  • 認知症に対する保険金(認知症保険金)の支払い要件は、器質性認知症の診断確定と公的介護保険要介護1以上の認定が必要
  • 目の動きで認知状態か否かを検査する専用スマホアプリが無料提供
  • 家族の要請でALSOKガードマンが自宅訪問

認知症への保障以外の予防サービスや、家族へのケア・支援サービスが充実している印象です。この商品も朝日生命と同様、医師の診断のみでは支払事由に該当しません。

生活サービスも豊富「笑顔をまもる認知症保険(損保ジャパン日本興亜ひまわり生命)」

グループ会社に介護サービス事業を行っているSOMPOケアもあり、今後ますます医療ヘルス領域への展開が注目される会社が出す認知症保険です。

特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 告知緩和型商品で持病があっても加入しやすい
  • 軽度認知症の場合、一時金が支給される
  • 加入後180日の免責期間あり
  • グループ関連会社の強みを生かした認知症サポートプログラムが充実

私個人としては一番“アリ”な商品だと感じてます。
免責期間も特別長い訳ではないですし、軽度認知症から保障があるのが嬉しいですね。医療技術は日進月歩なので、認知症が早期発見されるケースも多くなるでしょう。せっかく見つけたのに軽度だから保障がないなんて事態は避けたいです。ただ、決して安い保険料ではないので、懐事情とご相談って感じだと思いますが。

 

損保業界の認知症保険

認知症の方やその家族を対象にした「認知症安心プラン(東京海上日動火災)」

損害保険でも認知症に焦点を当てた補償を提供してます。認知症患者が意図せず賠償責任を問われるようなケースなどに備えた損害保険です。

特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 交通事故等によるケガに関する補償
  • 線路への立ち入りなどで電車の運行妨害などに対する賠償責任に関する補償
  • 行方不明時の捜索費用の補償
  • 見舞費用の補償
  • 捜索協力支援アプリの提供

生命保険とは異なり、認知症になったあとに対する各種サービスの提供です。個人的に面白いと感じたのが 『捜索協力支援アプリ』です。“みまもりあい”という名前のアプリだそうで、行方不明時にご家族の方が写真をアプリにアップロードすると近隣に住んでいてアプリをダウンロード済みの方々に捜索依頼が一斉通知される代物らしいです。捜索終了後には、アップロードした捜索対象者の写真が自動消去される仕組みになってます。まさに、認知症800万人時代は、当事者のみならず地域の理解が不可欠であることを物語っておりますね。

認知症保険に対する世間の反応

社会課題に対し、保険会社各社ができることを“商品”という形で具現化したものが認知症保険です。私は、これら各社の商品は社会的意義のあるものだと考えており、もっと世の中に認知していただきたいと思っておりますが、一方で、この認知症保険は40歳以降の方をターゲットとして捉えているものがほとんどで、その中心層は60代とか70代の方と言われております。そのような方々に“保険”のセールスをするのですから、我々販売側は細心の注意や心遣いを忘れてはいけません。

ご高齢の方に保険を販売する際は、できるだけご家族の方の同席を求めてはいるものの、すべてのケースがきちんとご本人さまとその家族がご納得いただけているかというとそうではないのが現状です。ご契約後、クーリングオフの申し出も従来より増加気味であるという話も聞いてます。

決して安い保険ではありません。ご家族の方からしてみたら『私の知らない間に勝手に保険を契約するなんてっ!!』と思われてしまうこともあると思います。

どんなにいい商品でも社会的意義が存在しようとも、ワイドショーや新聞などで『何もわからない高齢者に無理やり保険を売りつけた!!』なんて取り上げられたら、それが事実でなかったとしても我々保険会社の至らないところに原因があると考えます。

キチンと誠実にお客さまと向き合ってご納得いただく。

当たり前のことを実践することこそが、社会課題の解決に向けた一歩であると私は思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今後ますます多様化していく社会に対して、保険会社ができることはまだまだたくさんありそうです。保険会社の仕事に興味を持ってくだされば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。